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静岡県 経済産業部 産業革新局 産業イノベーション推進課 様

【事例】”経営者”と”推進担当者”がともに学ぶDX研修と、交流拠点「SHIP」による中小企業DX推進プロジェクト

  • 人材育成・研修
  • 地方公共団体

MEMBER

静岡県 経済産業部 産業革新局 産業イノベーション推進課 産業イノベーション推進班 様

 主任 西塚 拳斗 様
 班長 後藤 隆起 様

アポロ株式会社

AI Division / AI Unit シニアマネージャー 粟飯原 隆司
Business Division / Consulting Unit コンサルタント 青野 晃尚
インタビュアー :Marketing Division / マネージャー 山﨑 龍一

背景

  • 経営者の強いリーダーシップと、社内のDX推進体制整備という2つの不可欠要素
    • 企業がDXを推進するためには、経営者の強いリーダーシップと社内のDX推進体制の整備が不可欠。しかし静岡県内の企業支援を進めるなかで、DX・デジタル化の必要性は感じているものの、具体的な導入方法が分からず前に進めない、という声が多く寄せられていた。そこで、経営者がDXのイメージを描けるようになるとともに、社内のDX担当リーダー(担当者)を育成する実践的な講座として、DX推進講座を企画した。

課題

  • 対象は「DXの推進に関心があり、県内に所在する中小企業等」、定員は県内企業10社程度(1社あたり2名推奨、経営者層+担当者)と設定。経営層と現場担当者、双方が課題意識を共有できていない、という構造的な課題があった。

成果

  • “分けない”研修設計と、研修後も交流が続く拠点「SHIP」
    • 経営者向け・推進担当者向けを分けず、初回講義は原則対面・両者参加で実施するなど、あえて同じ場で学ぶ研修を設計。現場と経営層の間にあった課題認識のギャップが埋まり、社内で中期目標計画を共同で策定できた企業も出てきた。加えて、静岡県のイノベーション拠点「SHIP」(静岡市葵区呉服町2丁目7-26 静専ビル2F)が、研修後も企業同士の交流を継続させる役割を果たしている。

募集要項

出典:「令和7年度DX推進講座業務委託仕様書」

目的 経営者がDXのイメージを描けるようになるとともに、社内のDX担当リーダー(担当者)を育成する
対象 DXの推進に関心があり、県内に所在する中小企業等
定員 県内企業10社程度(1社あたり2名推奨:経営者層+担当者)
開催場所 イノベーション拠点「SHIP」(静岡市葵区呉服町2丁目7-26 静専ビル2F)
カリキュラム 全4日程度
1日目(両者):DXの概要・技術・経営マインド
2日目(担当者):DX推進計画の作り方
3日目(担当者):各社DX推進計画の発表とフィードバック
4日目(両者):進捗報告会
到達目標 ① 経営者がDXのイメージを持ち、リーダーシップを発揮できる
② 担当者が中心となってDX推進計画を作成できる
③ 経営者・担当者・現場が課題意識を共有し、全社的なDX推進体制の構築につなげる

 

“DXは分かっている、でも進まない”――県内企業の声が出発点に

インタビュアー:アポロ 山﨑(以下、山﨑)
静岡県さんがDX研修に取り組み始めた経緯を教えてください。

静岡県 西塚氏(以下、西塚)
企業支援の中で、県内中小企業からDXやデジタル化の必要性は感じているものの、実際にどう導入していいか分からず、導入が進まないという課題がありました。そこで県として、こうした企業の課題を少しでも解消できるよう、実践的なDX推進講座を開催することにしました。

アポロ 青野(以下、青野)
「どう進めていいか分からない」というのは、具体的にはどういうことなのでしょうか。

西塚:
中小企業といっても業種は様々ですし、何から初めて良いか分からない、成功事例を見てみたい、といった声も多くありました。しかし、規模が近い他社の事例を見ても、自社にとって本当に適切なやり方なのか、判断が難しいという声も多かったように思います。

青野:
これまでの講座と比べて、今回は何が違ったのでしょうか。

西塚:
これまでも4年間にわたり実施していたのですが、集客に苦労した時期がありました。前年に「生成AI」というキーワードで打ち出し、より多くの経営者と担当者が参加できるような内容としました。
一方で、企業が抱える課題として、①経営層のリーダーシップ、②DX推進体制の整備、③人材の活用・確保、この3点が不足していると認識があったため、特に経営者層の意識変革を促し、DXのスタートに繋がる実践的な講座を設計しました。

“経営者”と”推進担当者”、あえて分けずに学ぶという選択

山﨑:
数社の中からアポロを選んでいただいた決め手を教えてください。

西塚:
評価したポイントは大きく3つありました。
1つ目は経営者向けアプローチです。経営者自身がDXのイメージを持ち、リーダーシップを発揮できる内容になっているか。
2つ目はDX担当者向けのアプローチです。DX担当者が中心となってDX推進計画を作成できる内容になっているか。
3つ目が全社への波及効果です。受講後に、経営者・DX担当者が現場課題意識を共有し、全社的なDX推進体制につなげられるかという点です。

青野:
経営者向けと推進担当者向けを分けて実施する、という選択肢もあったと思います。あえて一緒にしたことに、こだわりがあったのでしょうか。

西塚:
現場と経営層が課題を共有できることが、設計のポイントだったと思います。どちらか一方だけで完結してしまうと、言葉の共有や当事者としての実感が生まれにくいのではないか、という考えがありました。

青野:
実際にやってみて、印象的だったことはありますか。

西塚:
課題の洗い出しワークをしているときに、「そんな課題があったんですね、初めて聞きました」というやり取りが生まれた場面がありました。研修をきっかけに、社内での対話が生まれたのは大きかったですね。

山﨑:
難しかった点はありますか。

西塚:
経営者と推進担当者の双方が全日程に参加することは難しく、回次ごとに参加推奨者を設定する柔軟な参加形式を採用しました。4日間の研修のうち初日と最終日だけ経営者が参加し、中2日は推進担当者が中心に進めるという形を取ったケースもあります。こうした工夫により、経営者のリーダーシップと担当者の専門的な学習の両立を図りました。

研修をきっかけに生まれた、社内での一歩

山﨑:
研修を通じてどのような成果がありましたか。

西塚:
座学のインプットだけでなく、各社の状況に応じたコンセンサスを取りながら、DX推進に向けた短期・中長期計画の策定まで支援することができました。アンケートでは「経営層と現場の担当者が一緒に一つの中期目標計画を立てることができた」という声をいただいています。実際にその計画に沿って社内でDX推進を実践する段階まで進んだ企業もあります。また、最後に発表会の場を設けたことで、「やり切らないといけない」という当事者意識が芽生えたほか、他社の前で発表すること、また他社の取り組みを見ることが刺激になった、という声もありました。

研修の”その後”をつなぐ、交流拠点「SHIP」

山﨑:
研修後のフォローはどのようにされているのでしょうか。

静岡県 後藤 氏(以下、後藤)
静岡県が運営する産業イノベーションの拠点「SHIP」があり、研修に参加した企業同士が、その後も継続的に交流できる場になっています。SHIPでの交流をきっかけに、企業同士の連携につながった例もあると聞いています。

アポロ 粟飯原(以下、粟飯原)
SHIPとは、どのような場所なのでしょうか。

後藤:
令和5年3月に「デジタル人材の育成」と「イノベーションの創出」を目的に立ち上げた県のイノベーション拠点で、現在はこれに「スタートアップ支援」を加えた3本の柱で運営しています。静岡県のデジタル人材育成は「トップレベル人材」「中核的人材」「全てのビジネスパーソン」「次世代人材」の4つの階層で捉えており、SHIPは主にトップレベル人材の育成拠点としてスタートしました。県外から人材を招くだけではなく静岡県内で育てようという発想から始まった経緯もあり、現在は、階層をまたいだデジタル人材の交流も生まれています。会員は現時点でおよそ4,000人で、コミュニティマネージャーが会員同士をつなぐ役割を担っています。オンラインでのやり取りが一般化した時代だからこそ、実際に人と会うことの価値が見直されている、という背景もあると感じています。

他自治体へのメッセージ

山﨑:
同じような課題を持つ自治体や企業の方へ、メッセージをお願いします。

後藤:
研修そのものだけで終わらせず、その後も継続的に交流し、情報交換できる場があるとよいと思います。一人で頑張ろうとするのではなく、他社の存在を感じながら取り組めることが、前に進む力になるのではないでしょうか。
DXの推進は今後も続けていきます。2026年3月には新たに「静岡県デジタル人材確保・育成戦略」を策定しました。次世代の人材育成という観点では、小学生から大学生までを対象にしたデジタル人材の育成や、高校生向けプログラム「FuJI:AI(Future Japan AI Innovator)」でのAIビジネスプランナーの育成にも取り組んでいるところです。

SHIP(SHIZUOKA INNOVATION PLATFORM)について

https://ship-shizuoka.jp/

SHIPは、静岡県 産業イノベーション推進課が運営するデジタルイノベーション拠点(静岡市葵区呉服町2丁目7-26 静専ビル2F)です。デジタル技術の習得や新たなビジネスへの挑戦に関心を持つ多様な人が集まる交流の場として設置されており、県内外を問わず静岡県内のDXやイノベーションに関心を持つ方であれば会員登録が可能です。セミナーや交流イベントのほか、スタートアップ支援の相談窓口、大学生・高校生向けコミュニティ「CREWS」、ミーティングルームなどの施設利用機能を備えています。

静岡県 経済産業部 産業革新局 産業イノベーション推進課 様

https://www.pref.shizuoka.jp/kensei/introduction/soshiki/1002123/1041027/1025717.html

静岡県 産業イノベーション推進課は、静岡県経済産業部 産業革新局に属する部署で、スタートアップ支援、デジタル人材の確保・育成、試験研究の総合調整などを担っています。具体的には、スタートアップ支援戦略の策定・実施、デジタル人材確保・育成戦略の推進、農業・畜産・水産・工業・環境の5分野での研究開発、中小企業向けのロボット・AI・IoT導入促進などに取り組んでいます。

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この記事の著者

粟飯原 隆司

アポロ株式会社 マネージャー

2018年にアクセンチュア株式会社に新卒入社し、コンサルタントとしてマーケティング領域でのデータ分析・AI導入を担当。2021年にアポロ株式会社に入社し、データサイエンティストとして航空業界などを担当しつつ、HR事業の責任者を担う。HR事業では、企業でのピープルアナリティクスの導入支援、人事向けソリューション開発のPMなどを行いつつ、2024年7月より「全ての可能性がハナヒラク世界に。」をミッションとするアポロの子会社「株式会社ハナヒラク」の取締役を務める。

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