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S&OP構築の必要性

消費者ニーズの多様化、原材料の高騰、物流クライシス・・・。メーカーを取り巻く外部環境の変化は激しさを増すばかりであり、業績に大きく影響を及ぼすものになっています。 こうした状況下において、経営はより迅速な意思決定が求められています。

販売/マーケティングとSCMを統合的に捉え、これまで数量ベースで捉えていた販売計画やサプライチェーン計画を金額で捉え直し、売上・収益といった観点でモニタリング、コントロールする(=S&OP(Sales and Operations Planning)の構築)必要性が高まっています。

起点は販売/マーケティング計画にあり

販売量予測と需要予測は連続性はあれど、似て非なるものと考えています。

いつ・どのチェーンで・どんな販促を行うか、といった販売/マーケティング計画に対し、実際の商談結果や販促効果を見込み予測するのが販売量予測。対して、販売量予測結果を受けて、物流拠点毎など、特定の場所にどの商品が・どれだけ必要になるかを算出するのが需要予測と捉えています。

社内の実績データに加え、気象データ等の外部データも積極的に取込み、需要予測の精度向上に努めている企業様は一定数存在しますが、「販売/マーケティング計画を精度高く立案する」「販促効果等を踏まえ販売量を予測する」「予測結果に基づき計画をローリングする」といった一連のプロセスが業務に組み込まれている企業様は少ないと感じています。

上述の販売/マーケティング計画立案&ローリングのプロセスを建付けることが、S&OP構築の上で最も重要になります。

目指す業務像の定義

「S&OPという概念と必要性は分かるが、何から手を付けていいのか分からない。」「SCM改革は進めているが、S&OP構築には至っていない」といった声をよく耳にします。
こうした企業様は往々にして、目指す業務像が定義されていないことが多いです。
S&OPは、経営、営業・マーケティング、SCMと関係部署が多岐に渡ることもあり、プロジェクト初期に「各業務において、何を・どのレベルで、どういった判断・意思決定ができる状態を目指すのか」をきちんと定義・設定することが肝要になります。

目指す業務像が定義されると、自ずと実現方法も具体化されます。

  • エリア別・ブランド別等の管理会計におけるメッシュや、配賦ルール、インプットとなる販売/需要量に比例して変化する販促費・物流費等の変動費の計算ルール
  • 上記を可視化する上で必要となるマスタ・データ・システム
  • 組織・人材(ケイパビリティ) etc.

全ての業務において必ずしも新規システムやAIの導入が必要とは限りません。
目指す業務像に対する効果と実現性も踏まえ、ロードマップ・実行計画に落とし込みます。

直近~長期予測の使い分け

S&OP、需給調整のコアとなる販売量予測・需要予測は、その対象とする業務に応じ、以下のように使い分けることが必要になります。
※予測モデル構築の際にインプット・重要視する変数も異なります。
参考:需要予測と在庫・発注の最適化

  • 売行きを重視した直近予測:販売物流業務の効率化、在庫配置/補充業務の適正化、直近の需給調整
  • 月次商談・販促を基にした短期予測:生産計画調整、在庫配置/補充業務の適正化、売上最大化・販促効率向上に向けた販促計画の高度化、短期の需給調整
  • 年次商談をインプットとした中期予測:原材料/部材等の調達計画業務の高度化、内外製計画業務の高度化、中期の需給調整
  • 市場動態を踏まえた長期予測:生産拠点配置の最適化、ライン増設要否の意思決定、物流拠点配置の最適化

3年程度前から実売までにおける、主な業務に対応する目指す業務像の策定の対象テーマ例の図解

販売/マーケティング業務向けソリューション”POPAI”

弊社ソリューション「POPAI」は、販売/マーケティングの計画から実行・効果検証までの業務を一気通貫で支援するものです。
特にS&OPに関連するものとしては、以下のような機能を具備しています。

  • 社内の販売/マーケティング計画を一元管理
  • カテゴリ別、エリア別、事業部別といった様々なメッシュで計画&実績を可視化
  • 計画に対する進捗状況(実績)をモニタリング
  • 販促・その他施策による効果や計画の着地見込をシミュレーション

この記事の著者

熊坂 惟

Consulting Unit マネージャー

新興国進出支援を行うベンチャーの創業に参画。
約5年間アジア各国での市場調査・マーケティング支援を行った後、デロイトトーマツコンサルティング、PwCコンサルティング及びアクセンチュアにて、サービス企画、業務改革、人材育成、マーケティングなどの領域でコンサルティングを実施。

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