Project / Column

株式会社三越伊勢丹 様

【事例】顧客戦略・CRM課題解決に向けた方針・ロードマップ策定プロジェクト

  • 小売業

MEMBER

株式会社三越伊勢丹 様

営業本部 顧客戦略統括部 CRM計画部 部長 小森 正詩氏

アポロ株式会社

Business Division Consulting Unit マネジャー 熊坂 惟
DDD Division Development Unit マネジャー 村松 大輝

プロジェクトサマリー

背景

  • 三越伊勢丹は、良いものを用意すれば売れるというプロダクトアウト型の商売で成功を納めてきたが、昨今の消費トレンドの変化とファストブランドの台頭による、国内アパレルの疲弊により、長年構築してきた業務フローが機能しなくなってきた。
  • そこで、原点に立ち戻り、マーケットイン型の外商モデルの強化に舵を切り、より多くの顧客に対応するための現代版の新たなビジネスモデル(顧客業)への転換を行なっていた。

課題

  • 顧客起点の業務への転換を進める中、目指すべき・理想とする状態は何か。その明確な定義ができないまま試行錯誤が続いていた。
  • 試行錯誤は、本部と店舗間の役割分担や業務フロー等の非合理・非効率となって表れており、本部・店舗共にリソースが逼迫する中で、打ち手を講じる必要に迫られていた。
  • 限られたリソースを有効に活用し、三越伊勢丹グループ全体で「顧客起点の業務が浸透し、機能している状態」を目指したいと考えていた。

解決

  • アポロは、1カ月程度の短期間で、様々な現場へのヒアリングやディスカッションを繰り返した。現行業務における課題の棚卸を行い、顧客起点の業務の目指すべき・理想とする状態を定義した。
  • さらに、その状態における本部と店舗間のあるべき役割分担や、各業務において効率化・省人化すべきもの等の方針を決定し、現行業務から目指すべき・理想とする状態の実現までのロードマップ策定を行った。

顧客起点の業務への転換を行う上での課題とは

アポロ 熊坂:
顧客起点の業務への転換を試みてきた中で、具体的にはどのような課題を抱えていたのでしょうか。

株式会社三越伊勢丹 小森氏(以下、小森):
「百貨店は長年に渡り、良い商品を仕入れさえすれば売れるというプロダクトアウト型、言うなれば商品を起点として業務が行われてきました。世界中から良い商品を集めてくれば、その商品をお客様に買って頂ける、という考え方です。
ところが、昨今のSPA、ファストブランドの台頭や、お客様の行動様式、消費トレンドの変化もあり、お客様の百貨店離れが進み、良い商品を仕入れるだけでは立ちいかなくなってきました。
このような背景があり、商品起点から顧客起点の業務への転換が求められていました。」

「私が所属する顧客戦略統括部CRM計画部は、まさに顧客起点の業務への転換を推進するために発足された部署です。
発足後から数年、データを活用した顧客理解などのトライアルを積み重ねてきましたが、全国に展開する店舗も含めた全体最適な業務を確立するには至っていませんでした。
加えて、本部も店舗も常にリソースがひっ迫している状態にある中で、全社的にCRM(顧客関係管理)を推進しようとするものの、業務の非効率が各所で生じ、次第に現場に疲弊感や迷いが出てきていました。」

「限られたリソースを最大限有効に活用し、グループ全体でCRMが回っている状態をいかにして作り出すか。この問いに解を出すことが急務でした。」

熊坂:
そんな中、弊社にお声がけを頂いた訳ですが、どのような点に期待して頂けたのでしょうか。

小森:
「我々の中でも明確にできていなかった課題を、僅かなヒアリングだけで的確に捉えて頂けたことから、アポロ社ならば私たちが解を出せずにいたグループ全体のCRMに対し、目指すべき業務像を定義できるのでは、と期待しました。」

目指すべき状態の定義に向けたディスカッション

熊坂:
プロジェクトは1ヶ月強の短期間で、前半は現場の皆様からのヒアリングがメインで、後半はそれらをインプットにCRM業務の目指す状態を定義し、実現までのロードマップを策定するといったアプローチで進めてきました。特に目指す状態を定義する過程では、CRM計画部の皆様と、何度も討議を重ねました。

小森:
「前半のヒアリング結果を取り纏め、課題を棚卸頂いた結果は、折に触れ部員からも聞いていた内容が多くありましたが、体系的に整理頂いたことで、改めて何が課題となっているか、再認識できました。」

「ヒアリング内容も踏まえつつ、皆が腹落ちできる業務像を定義することは、難易度が高いだろうと感じていましたが、最後はシンプルに纏めて頂けたと思っています。
その結論には、これまで社内で討議してきた内容も包含されており、自分たちが考えてきたことが間違っていなかったと再認識できました。加えて、AIによる省人化・高度化といったアポロ社ならではの要素もあり、期待に応えて頂けたと思っています。」

「個人的には、まったく新しいアイデアめいたものが出てくるよりも、今までの取組や討議してきた内容が踏まえられていたことも、アウトプットが腹落ちした大きな要因ではないかと思っています。」

アポロ社に今後期待すること

熊坂:
最終成果物として、目指すCRM業務像とロードマップを策定しましたが、プロジェクト終了から数ヶ月経過した現在、どのような取組が進んでいるのでしょうか。

小森:
「現在までに、2つの取組を行いました。1点目は、アポロ社の成果物の考え方に基づき、顧客戦略統括部の機能を再編しました。2点目は、こちらもアポロ社の成果物をベースに、今後のCRM活動のあり方として、全社向けに情報発信を行いました。」

「発信した内容が、今まさに各部署の業務フローに落し込まれつつあります。
各店舗やシステム部門とも連携し、確実に実行していくことが次のステップとなっています。」

熊坂:
プロジェクトの成果が活用頂けていること、大変嬉しく思います。今後、アポロに期待することを教えてください。

小森:
「お客様に対する価値提供のコアとなる部分は、私たちが担うべきものと考えています。
他方、AI活用をはじめとするデータサイエンスの領域は、ここまで伴走頂く中で業務を深く理解頂いたアポロ社がコンサルティング同様に得意とすることもあり、今後も相談していきたいと考えています。」

株式会社三越伊勢丹 様

https://www.imhds.co.jp/ja/index.html

この記事の著者

熊坂 惟

Consulting Unit マネージャー

デロイトトーマツコンサルティング、PwCコンサルティング及びアクセンチュアにて、メーカー・流通小売業界をはじめとする様々な業界・企業へのコンサルティングに従事。組織・業務変革、CRM・マーケティング、データ利活用推進、人材育成等、幅広いテーマの支援を経験。
特に、DX・AI/データ活用企画を絡めたマーケティング戦略立案~実行支援を強みとする。

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